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【ネタバレなし】森博嗣『εに誓って』読了【感想】

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あらすじ

爆弾を仕掛けられたバスは死に向かって疾走する。
Gシリーズ、緊迫の第4作。

山吹早月と加部谷恵美が乗り込んだ中部国際空港行きの高速バスが、ジャックされてしまった。犯人グループからは都市部とバスに爆弾をしかけたという声明が出される。乗客名簿にあった「ε(イプシロン)に誓って」という団体客名は、「φ(ファイ)は壊れたね」から続く事件と関係があるのか。西之園たちが見守る中、バスは疾走する。

出典元:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000205209

 

感想

本作は今まで読んできたGシリーズの中で1番面白かった。前作の『τになるまで待って』は森作品の中で一番退屈だったので心配だったのだけれど、不要な心配だった。ようやくか、という気持ちもある。このままどんどんと面白くなってくれればいいのだけれど。

物語はバスの中という限られた空間の中で展開されるのだけれど、加部谷と山吹の会話が面白かったので飽きることはなかった。特に同人誌に関するくだりが好き。海月がいない方がしっかり会話が弾んで面白い。今後はもっとこの二人を中心に話が進んでくれたらなと思う。

新しい登場人物の独特の価値観も面白く「お気に入りの一文」もそれなりに多かった。頭の中に置き土産として残された真賀田四季のプログラムと犀川が会話するシーンも良かった。今後も定期的にあればいいのにな、と思う。

この展開ではトリックも何もないのではないか、と思いながら読み進めたのだけれど、思わぬ形で、しっかりとトリックが用意されており、思わぬ形であっただけにハラハラさせれた。「え?」で終わるラストも好き。とはいえ犯人との掛け合いのようなものがほとんどないのでミステリとしては少し物足りなかった。

冒頭にも書いた通り、シリーズの中では一番おもしろかったので、本作からどんどんと「シリーズで一番」を更新してくれたらな、と思う。

 

お気に入りの一文