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あらすじ
完全に施錠されていたT研究所で、4人の銃殺死体が発見された。
いずれも近距離から撃たれており、全員のポケットに「λ(ラムダ)に歯がない」と書かれたカードが入っていた。
また4人とも、死後、強制的に歯を抜かれていた。謎だらけの事件に迫る過程で、西之園萌絵は欠け落ちていた過去の大切な記憶を取り戻す。
感想
今まで以上に西之園を中心に話が進むので、まるでS&Mシリーズのようだった。これまでの作品でも、西之園は活躍していたのだけれど、これまで以上の活躍。ただし、S&Mの頃に比べると大人になった西之園はヤンチャをしなくなってしまったという点や、犀川との関係性も成熟しすぎてしまっていという点ではS&Mシリーズよりは魅力に欠ける。それでも、Gシリーズの主要人物3人よりは十分に魅力的。
内容は前作の方が面白かった。最終作に向けてどんどんと面白くなることを期待していたので残念。犯行現場やトリックなんかは森作品らしくて良かった。これはGシリーズを通しての感想になってしまうのだけれど、犯人とのやりとりがないのはやっぱり物足りない。魅力的な犯人はミステリに必須であるように感じる。
そういえば、本作でも触れられた西之園の両親の事件についてのフラグはいつ回収されるのだろう。てっきり四季シリーズで回収されるものかと思っていたのだけれど、そういえば回収されないままだった。なんとなくGシリーズで回収されそうな雰囲気がある。
ネタバレになりそうなので、詳しくは書けないのだけれど、次作以降、僕の大好きなキャラクタが深く関わってきそうでので嬉しいし楽しみ。早く。待てない。本作までがGシリーズの序章と考えていいのかもしれない。序章にしては長過ぎる。ここからかなり楽しませてもらえないと割に合わない。前作の感想にも同じようなことを書いたような気がする。そろそろ盛り上がってきてほしい。もしもまたGシリーズを読み返すことがあったなら次作以降からで良さそう。まだ途中なのでわからないけれど。
本作はお気に入りの一文が多かった。おかげで何度もTwitterにメモをしなければならず、集中して読むことができなかった。嬉しい悲鳴とはことのことだろう。いや、なんとなく違うような気がする。
お気に入りの一文
山吹が投げかけていた冷たい視線が、さらに氷柱のように鋭くなり、彼女を突き通した。#λに歯がない #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月7日
「うん、仕事って、おおかたつまらないものだ。つまらないことをするから、代償として賃金がもらえる」#λに歯がない #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月8日
「たとえば、一年間で自分がなしたことを考える。そのたった八十倍のことしかできない。一生はせいぜい三万日だ。たったの千カ月だ。病気や事故で、もっと短くなる可能性もかなり高い。生きていても、なにもできない時間や期間があるだろう。いったい、自分は何ができるのか?」#λに歯がない #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月8日
みんな死ぬんだ。そうなることが、わかっている。自分だって、それくらいわかっていた。わかっていたつもりだった。なのに、どうして……、死が目の前に来ると、そんなに悲しいのだろう?こんなにみんなで覚悟をしているのに、どうして涙が流れるのか?#λに歯がない #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月8日
「人間って、結局は自分の人生しか知らない。自分の時間しか経験していない。すべては、それと比較して、それを基準にして、推論するしかないんだ」#λに歯がない #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月8日
「どうして、私にきくんです?」「今は、ほかにきく人がいません」#λに歯がない #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月8日
「みんなで、噂をして、くしゃみをさせましょう」加部谷が言った。#λに歯がない #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月9日
「もし、可能ならば、自殺するときには、相談してほしい」「嬉しい。ありがとうございます。その節には、是非」#λに歯がない #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月9日
人間は、命というものを、まるで自分の所有物であるかのように認識している。自分が獲得して、自分で育て上げたものだと錯覚している。自分の作品だとでも思っているようだ。それだから、それを取り上げられることに、最大の恐れと恨みを抱いているのだろう。#λに歯がない #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月9日
「そうだね、まあ、いろいろあってね」「何ですか?いろいろって」「いや、理由を考えているから、時間稼ぎの言葉だよ」#λに歯がない #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月9日