あらすじ
「あんな高いところに、どうやって死体を上げたのでしょう?」有名マジシャン・牧村亜佐美の自宅敷地内で発見された他殺死体は、奇妙なことに、地上約15メートルのポールの上に掲げられていた。被害者は、前夜ファンと牧村の会食中に消えたマネージャーだった。事件関係者の調査依頼を受けた《探偵》鷹知祐一郎は、複雑に絡み合う人間関係の糸を解きほぐし、犯人の意図と事件の意外な真相に迫る。絶好調シリーズ第3弾!
有名マジシャン・牧村亜佐美の邸宅で発見された他殺体。奇妙なことにそれは、高さ十五メートルのポールの上に「展示」されていた。依頼を受け調査に乗り出した探偵・鷹知、謎に惹かれた小川と真鍋、そして大学教員・西之園萌絵の推理が交差する。絶好調Xシリーズ第三弾!
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感想
探偵事務所の3人は相変わらずに魅力的。それに加えて、新キャラの永井絵里子が可愛らしかった。なんとなく短編集に出てきた秋子に似ているような気がした。Xシリーズにもがっつりと登場する萌絵。ついには教員になってしまった。なんだか考え深い。Gシリーズからは離脱する形となるのだろうか。気になる。萌絵が真鍋をボディガードと呼ぶシーンは、なんとなく紅子さんと保呂草の関係を思い出した。高知は最初に受けた印象ほど優秀ではなさそう。いや、優秀なのだけれど、天才ではないと言った方が正しいのかもしれない。
本編の中でGシリーズの事件について真鍋と小川が触れているのは面白かった。シリーズが同時進行しているからできるプロット。とはいえ、物語にがっつりと関わってくるというわけではないので、刊行順に読む必要はなさそう。今のところは、だけれど。
そういえば、椙田が新宿で一緒だった女性は誰だったのだろう。すでに登場済みのキャラクターであると仮定するのであれば何人か頭に浮かぶのだけれど。次作あたりでわかるのだろうか。それともわからないままなのだそうか。僕がヒントを見逃しているだけでないことを願う。
XシリーズはGシリーズとは違い、しっかりと犯人とのやりとりがあるので面白い。やはり犯人とのやりとりはミステリには必須の要素であるということを再確認することができた。過去2作とは違い、精神に異常のある人が出てこなかったのでよかった。
事件自体は面白かったけれど、トリックは珍しくすぐにわかってしまったし、マジシャンが関わっているにしては、地味な印象。もう少しマジシャンならではの出来事が起こってもよかったのにな、と思った。それこそ、真鍋が推理していた「隠したいものから目を背ける為」とかいう方がマジシャンらしくてよかった。
過去2作に「お気に入りの一文」が少なかったので、Xシリーズに共通した特徴なのかと不安だったけれど、本作は全然そんなことなかったので安心した。
お気に入りの一文
美味しいものだけ食べていたら、いつの間にか、嫌いなものばかりが皿に残っていたときみたいに、朝一番の講義ばかりを受講しなければならなくなっていた、という夢を見たこともあったのだが、現実もそれにかなり近い状況になりつつあった。#タカイXタカイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月29日
餌に向かっていくタイプではなく、追い込まれて、しかたなく走り始めるタイプだと自分を分析することができる。#タカイXタカイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月29日
「知り合いなのに、単位が取れないわけ?」「単位が取れないから、知り合いになったんじゃん」#タカイXタカイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月29日
少々迷ったけれど、知ったかぶりをして傷口を広げることは得策ではない。#タカイXタカイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月29日
三人はしばらくメニューを眺めながら近未来について打合せをした。#タカイXタカイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月30日
自分が実際よりも多くを知っている、と相手に思わせ、相手にとって有益な情報を持っていると錯覚させることが重要なのだ。#タカイXタカイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月30日
「そうですか。暗いし、雰囲気悪いですね」「逆。君の感覚が反対」#タカイXタカイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月30日
「レポートのことですよ。ちゃっかりしているから、彼女。まあ、べつに、いいですけどね、人に教えても自分が損するわけじゃありません」#タカイXタカイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月30日
時計というやつは、夜だって休むことができない、辛い仕事だな、と同情する。#タカイXタカイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月30日