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あらすじ
犀川助教授と西之園萌絵。四季と再びの邂逅を試みる。四季が残したメッセージは、何を示す? 妃真加島で再び起きた殺人事件。その後、姿を消した四季を人は様々に噂した。現場に居合わせた西之園萌絵は、不在の四季の存在を、意識せずにはいられなかった……。犀川助教授が読み解いたメッセージに導かれ、二人は今一度、彼女との接触を試みる。四季の知られざる一面を鮮やかに描く、感動の第3弾。
出典元:https://booklive.jp/product/index/title_id/184421/vol_no/003
感想
萌絵ちゃんと犀川先生のやりとりから始まるエピローグはまるでS&Mシリーズかのようで、ワクワクさせられた。本作は『すべてがFになる』の後日談的なお話。四季もほとんど出てこないに等しいので「S&Mシリーズの続編だよ」と言われたら信じそう。さすがにそれは言い過ぎだけれど、そんな感じ。
犀川先生の妹、儀同世津子はつまり祖父江さんの娘だったのか。なぜか今まで気づかなかった。というより、儀同世津子というキャラクターの存在を忘れていたという方が正しいかもしれない。これは僕の記憶力が悪いだけで、森作品を順番通りに読み進めていれば、本作を読まなくてもとっくに知っていて当然の情報なわけだから、ネタバレではないでしょう。
本作の第2章を読む前に短編集『虚空の逆マトリクス』を読んでおいてよかった。まだ読んだことがない人はS&Mに関連する短編だけでも読んでおいた方がいい。
春と夏がVシリーズの続きで、秋と冬がS&Mシリーズの続きという感じなのかもしれない。捩れ屋敷の利鈍との繋がりもあって様々な記憶が読みがえってきたし、読み返したくなった。それにしても時系列と読んだ順がぐちゃぐちゃだからややこしい。読みながら頭の中で小説の置き場所がどんどんと変わっていくイメージ。これが森先生のいう「人は正しい順番に直す力がある」というやつなのだろう。
大好きな犀川、萌絵、保呂草の3人が同じ空間に存在しているシーンは読んでいて嬉しかった。紅子と萌絵の会話も印象的だった。
お気に入りの一文
「なんか、怒っているみたいだけれど」彼は言った。無言で小さく頷いてみせる。それが可能なのは、怒っていない証拠だが。#四季_秋 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月8日
今の自分はとても落ち着いている、と感じることができた。もしかして、これが大人になったということだろうか。単に、歳をとって鈍感になっただけかもしれないけれど……。#四季_秋 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月8日
仕草の一つ一つがどうも対女性用に演出されているような気がした。でも、わざとらしくはない。役者になったら良いのに、と思えるくらいだ。#四季_秋 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月9日
帰宅しても、目を開けていられないくらい疲れて、すぐに眠ってしまうことが多い。こうして、ミルクレープみたいに薄く積み重ねられ、自分の歴史は、自分の地層は、綺麗な縞模様になっていくのだ、と感じるのだった。#四季_秋 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月9日
今は髪も長かった。後ろで縛っている。それを外そうと、つい両手を持ち上げかけ、途中でやめた。彼のために髪を解こうとした自分が可愛いと思った。#四季_秋 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月9日
「力のあるものに憧れる、という心理には、その力への恐れが存在しますからね。神を愛する者は、神を恐れる者でした。人は、パワーを恐れ、それが自分の方へ向けられないように、そのパワーの下へ集まるのです」#四季_秋 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月9日
「扇風機のように、前にしか風が来ないのなら、こちらを向いてくれないと困りますけれどね。たとえば、太陽はどう?メキシコが晴れていたら、その分、日本は損をしますか?」#四季_秋 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月9日
「人は、自分が許せないときに、悲しくて泣く、そして、自分が許せたときに、嬉しくて泣くの」#四季_秋 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月9日
なにかの答を得たような気がする。何だろう?どんな問題だったかしら?解けてしまったときには、問題も消えている。それが、本来の問題だ。消えたあとに、優しい気持ちだけが残る。#四季_秋 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月9日