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【ネタバレなし】森博嗣『六人の超音波科学者』読了【感想】

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あらすじ

閉ざされた研究所 発見される死体

土井超音波研究所、山中深くに位置し橋によってのみ外界と接する、隔絶された場所。所内で開かれたパーティに紅子と阿漕(あこぎ)荘の面々が出席中、死体が発見される。爆破予告を警察に送った何者かは橋を爆破、現場は完全な陸の孤島と化す。真相究明に乗り出す紅子の怜悧(れいり)な論理。美しいロジック溢れる推理長編。

出典元:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000203643

 

感想

結論を先に書くと今まで読んできたVシリーズの中で1番つまらなかった。

犯人が容易に予想できてしまったのが、つまらないと感じた大きな要因のひとつ。これは僕の推理力が特別に優れているというわけではなく、読者のほとんどが気づいたのではないだろうか。森先生のことだから、わざとそういう構成にしたのかもしれないれど「犯人は誰なのだろう」というドキドキ感がないのはミステリとしては楽しみに欠ける。 

犯行のトリックや、エレベータの壁の文字の謎については全くわからなかったけれど、種明かしを聞いても特別に面白いとは思わなかった。特にエレベータの謎については「科学者がそんな選び方をするか?」「そんな都合の良い人物がいるか?」と疑問ばかりが頭に残ってしまい、なんだか腑に落ちなかった。

それでも森先生特有のユーモアのあるオシャレな言い回しがあれば、それだけで一定以上の満足感を得ることができるのだけれど、本作は本当に森先生が書いたのかと疑ってしまうほどに、気に入る文章がなかった。 

シリーズの前半では魅力的に感じた紅子さんのことが、最近はあまり魅力的に感じなくなってきたのも残念。おそらくは恋敵が、登場人物の中で読者が1番感情移入しやすい凡人の祖父江さんであるからだと思う。祖父江さんがもっと嫌な奴だったら紅子さんの意地悪も「かわいらしい」「人間らしい」と思えるのかもしれない。小鳥遊練無と香具山紫子の2人には最初から魅力を感じていなかったので、阿漕荘のメンバーで魅力を感じるのは保呂草だけになってしまった。

前作、前前作が面白かっただけに、このまま最後まで駆け抜けていくかと思っていたので残念だった。

 

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