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あらすじ
十三歳。四季はプリンストン大学でマスタの称号を得、MITで博士号も取得し真の天才と讃えられた。青い瞳に知性を湛えた美しい少女に成長した彼女は、叔父・新藤清二と出掛けた遊園地で何者かに誘拐される。彼女が望んだもの、望んだこととは? 孤島の研究所で起こった殺人事件の真相が明かされる第2弾。
出典元:https://booklive.jp/product/index/title_id/184421/vol_no/002
感想
四季シリーズは今までのシリーズに比べると時間の流れが速い為、シリーズという感じがあまりしない。真賀田四季という人物をテーマにはしているけれど、それぞれ独立した作品といった感じ。『春』は語り手が「僕」だったけれど、本作は四季本人が語り手だからより、そう感じるのかもしれない。
前作の『春』に比べると、本作からはだいぶ読みやすかったし面白かった。「僕」によるややこしさがない分、純粋に楽しむことができたからだと思う。新藤というキャラクタのおかげで、少しだけ人間らしい一面を見ることができたもよかった。事件らしい事件が起こらない点は少し物足りなかったけれど。
若い頃の犀川先生や祖父江さん、林まで登場。まさにオールスター。やはり四季シリーズは過去の2シリーズをリンクさせるシリーズということで間違いなさそう。というよちは、やはり四季シリーズを書く為に2シリーズが書かれたと考えた方が順番としては正しいのかもしれない。四季シリーズを読んでいると「ああ、こうして『すべてがFになる』の繋がっていくのかと考えさせられる。特に『すべてがFになる』の中ではそこまで印象にない新藤についてはだいぶ見方が変わった。
そういえば、聞き覚えのある喋り方をする祖父江さんの顔見知りの記者が出てきたのだけれど、あれってもしかして。
お気に入りの一文
天才的ではない。ただの天才でもない。真の天才だ。それがどんなものか、ようやく彼も理解しつつある。否、理解などできないことが判明した、といった方が近いだろう。#四季_夏 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月2日
「ここは、ジェントルなところを見せておいて、評価値を上げてもらった方が得策だ」#四季_夏 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月2日
あえていうならば、単に趣味的な活動であったし、価値のあるものが、その価値を理解している者、価値を知っている者の近くに置かれる置かれるべきだという、ごく自然な方針に従って、慎ましいほど遠慮がちに位置を修正しているに過ぎない。#四季_夏 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月2日
顔の特徴というのは、つまり、通常は目立つ欠陥に依存している、といえるだろう。欠陥のないものには特徴がないという理屈である。#四季_夏 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月2日
叔父に会わないで、しばらく彼のことが忘れられるものかどうか、実験をしてみた。しかし、数ヵ月のの観測では、その感情が弱まることはなかった。むしろ、強くなっている気がする。否、明らかに望みは強くなっていた。 #四季_夏 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月3日
その理屈は間違っている、と四季は思ったが、そう思い込んでいる人間に説得しても効果は少ないだろう。#四季_夏 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年11月3日