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【ネタバレなし】森博嗣『四季 冬』読了【感想】

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あらすじ

生と死そして時間。すべてを超越し存在する、四季。天才の成熟と到達。「四季」4部作、美しき完結編。「それでも、人は、類型の中に夢を見ることが可能です」四季はそう言った。生も死も、時間という概念をも自らの中で解体し再構築し、新たな価値を与える彼女。超然とありつづけながら、成熟する天才の内面を、ある殺人事件を通して描く。作者の一つの到達点であり新たな作品世界の入口ともなる、4部作完結編。

出典元:https://booklive.jp/product/index/title_id/184421/vol_no/004

 

感想

結論から書くと全く面白くなかった。『春』と同じく頭の中にクエスチョンマークが浮かんだまま読み続けた。『春』とは違う意味でのクエスチョンマークだけれど。

『春』と同様、語り手が四季になると面白くない。おそらく頭が良すぎて、僕の頭ではしっかりと理解することができないのが原因だと思う。他の視点から観る四季は美しいけれど、四季の視点から見るとなんだか魅力が半減する。言い回しが詩的すぎるのも原因かも。今まで読んできた森作品の中で「お気に入りの一文が一番少なかった。

『春』『夏』『秋』は前フリで、本作は最初から最後まで面白いことを期待していたけれど、結果的にはつまらなかった。3部作の映画の3作目はつまらないという理屈と同じなのかもしれない。

四季とキシオの会話は、萌絵と犀川、紅子と保呂草の会話のような魅力がない。天才がどう感じているか、よりも天才と触れ合った人物がどう感じているか、の方が面白いのかもしれない。犀川という天才と話す萌絵、紅子という天才と話す保呂草など。

森作品の事件的な、ミステリー的な要素はオマケのように感じていたけれど、どうやら違うようだとようやく気づいた。その事件にキャラクターがどのよう取り組むかを見るのが好きなのかもしれないと自己分析。事件に対するアプローチの仕方にこそ魅力が現れる。四季シリーズはそのあたりが欠けていた。

四季が新藤のことを「愛していた」と語るシーンが印象的だった。

 

お気に入りの一文