関連記事
あらすじ
メビウスの帯構造の密室 現れる死体、消える秘宝
エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣が眠る“メビウスの帯”構造の巨大なオブジェ様の捩れ屋敷。密室状態の建物内部で死体が発見され、宝剣も消えた。そして発見される第2の死体。屋敷に招待されていた保呂草潤平(ほろくさじゅんぺい)と西之園萌絵(にしのそのもえ)が、事件の真相に至る。S&MシリーズとVシリーズがリンクする密室ミステリィ。
感想
本作は阿漕荘メンバーの中で登場するのは保呂草だけという、ここまでのVシリーズの中では異色の作品。前作の感想に保呂草以外は好きになれないと書いたばかりだったので、このブログを読んだ森先生が僕の意見を参考にしたのではないか、と思ったのだけれど、発行年月日を考えると、そんなわけがなかった。理由はどうあれ、僕の好きな登場人物しか出てこないので、僕が面白いと感じないわけがなかった。つまりは面白かった。
おまけにS&Mシリーズの萌絵ちゃんまで出てきてしまうのだからとても驚いた。同じ世界が描かれていたのですね。全く別物だと思っていました。否、思い込んでいました。森先生のことだから、過去作にも同じ世界であることを匂わせる一文があったのかもしれないなと気になった。「ネタバレかよ」と思った人もいるかもしれませんけれど、登場人物の紹介やあらすじに名前が載っているのだからセーフでしょう。触れずに感想は書けませんし。
そんなわけでS&Mシリーズで一番好きな萌絵ちゃんとVシリーズで一番好きな保呂草の会話シーンなんかは最高だった。保呂草に犀川助教授っぽさを感じるシーンなんかも面白い。エンディングも良かった。紅子さんと萌絵ちゃんの関係については予想をすることすらできないのでとても気になる。エンジェル・マヌーヴァに関するトリックや、捩れ屋敷という特別な環境の活かし方も好みだった。
お気に入りの名言
ただし、どうして彼女が怒っていたのかは思い出せない。都合の悪いことは記憶しないのが、人間の頭脳の仕組み、自己防衛を目的としたごく普通の機能らしい。#捩れ屋敷の利鈍 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年8月31日
良い思い出は、できるだけ早く、新鮮なうちに素早くフリーズしておくにかぎる。きっと、いつか落ち込んだときに、とても辛いときに、そして死ぬ直前にでも、それが役に立つだろう。#捩れ屋敷の利鈍 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年8月31日
良い道具には、それが道具であることを忘れさせてくれる機能がある。まるで魔法のように、それを使う人間の腕が上がったように錯覚させてくれる。#捩れ屋敷の利鈍 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年8月31日
大人になり、成長するごとに臆病になっているせいだろう、というのが彼の自己分析だ。サーカスのスターも歳をとればピエロを演じるしかない、つまりはそれと同じ原理だろう。#捩れ屋敷の利鈍 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年8月31日
一般に、焦ることはプラスになりえるが、焦っていると他人に思われることは、確実にマイナスだ、というのが保呂草の法則の一つだった。#捩れ屋敷の利鈍 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年8月31日
保呂草は、少々不安を感じた。というのも、この魅力的な女性が、自分のことをすっかり信用しているからだ。それほど安全な男に見られている、という証拠ではないか。それが不安、否、不満の原因である。#捩れ屋敷の利鈍 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年9月2日
「あのくらい、普通じゃない?」国枝が言った。普通じゃない、に一票入れたかったが、保呂草は黙っていた。#捩れ屋敷の利鈍 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年9月2日
「盗まれたのかしら?」「持っていった人間が、持ち主でなければね」#捩れ屋敷の利鈍 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年9月2日