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【ネタバレなし】森博嗣『θは遊んでくれたよ』読了【感想】

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あらすじ

死体に記された謎の文字「θ」が示すものは?

25歳の誕生日にマンションから転落死した男性の額には、θ(シータ)という文字が書かれていた。半月後、今度は手のひらに赤いθが書かれた女性の死体が。その後も、θがマーキングされた事件は続く。N大の旧友・反町愛から事件について聞き及んだ西之園萌絵は、山吹ら学生三人組、探偵・赤柳らと、推理を展開する!

出典元:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000204721

 

感想

結論からいうと本作も特別に面白いわけではなかった。説明されると簡単なのだけれど、読んでいる時には気がつかない、絶妙なトリックには驚かされたし、張り巡らされた数々の伏線を回収しながら繰り広げられる海月の推理シーンは読み応えがあったのだけれど、なんだか物足りなかった。Gシリーズは森作品特有の理系っぽさと、恋愛的な要素が不足しているように感じる。

そしてやはり前作『φは壊れたね』と同様、地味だなという印象は変わらない。主要メンバーも地味だし、事件のシチュエーションも地味。もっとこう、航空機だとか豪華客船だとか捩れ屋敷とか出てこないもんかね、と思ってしまう。天才ポジションの海月もあまり魅力的に見えない。可愛げがないというか隙がないというか。今までの森作品の中では1番魅力がない天才かもしれない。今後に期待。

犀川と萌絵の関係性も目新しさがなく退屈だし、なんとなく蛇足であるように感じる。もう既に2人の良いところは今までのシリーズや短編で出し尽くしているような気がしないでもない。Gシリーズの2人は今のところは、そこまで魅力がないので、そう感じるだけという可能性もある。もう既にある程度、2人の関係には結論が出ているので、もどかしさがないのも退屈に感じる理由かもしれない。

そしてついに電話だけだけれど保呂草が登場。時系列的にかなり歳をとっているということでいいのだろうか。四季シリーズをS&MシリーズとVシリーズを繋ぐシリーズだとするのなら、Gシリーズはその2つ、もしくは四季シリーズを含めた3つのシリーズのその後を語るシリーズなのだろうか。タイトルから推測するに、シリーズで大きな1つの事件、もしくは1人の犯人を扱うのかな、と想像しながら読んでいるのだけれど、そうだとしても前振りが長いなと感じる。2作読んでも全貌が見えてこないので、モヤモヤする。Gシリーズとはどういったシリーズなのかだけでも早く知りたい。次作『τになるまで待って』は、もっとシリーズ全体を通したストーリーが進むことを期待している。そんなものがあるのであれば、だけれど。

そういえば、保呂草に電話を繋いでくれた女性は誰だったのだろう。もしかして僕の知っている人だろうか。まさかあの人ではないだろうし。いや、まさかね。 

 

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