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【ネタバレなし】森博嗣『φは壊れたね』読了【感想】

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あらすじ

もしもこれまでの人生、1冊の森博嗣も読んでいなかったら。――<西尾維新(解説より)>

その死体は、Yの字に吊られていた。背中に作りものの翼をつけて。部屋は密室状態。さらに死体発見の一部始終が、ビデオで録画されていた。タイトルは「Φ(ファイ)は壊れたね」。これは挑戦なのか?N大のスーパ大学院生、西之園萌絵が、山吹ら学生たちと、事件解明に挑む。Gシリーズ、待望の文庫版スタート! 

出典元:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000204612

 

感想

Vシリーズのキャラクターが個性派揃いだったからか、Gシリーズの新しいキャラクターはなんだか個性が薄いように思う。森作品とは切っても切れない天才キャラが海月ぐらいしか見当たらなかったのだけれど、その海月も口数が少ないせいで、他のシリーズの天才のような魅力はないし、おかげでお気に入りの一文も少なかった。海月に対する萌絵の反応が意味深だったように感じたのだけれど何かあるのだろうか。

当たり前のように萌絵が登場していることにも驚いた。なんとなく話す言葉が萌絵ではないような気がしたのだけれど、登場人物の紹介ではしっかりと「西之園萌絵」と記載されていたので、萌絵なのだろう。直前に読んだ『すべてがFになる』から本作までには何年も経っているので、萌絵の成長に僕がついていけていないからそう感じるのかもしれない。本文にも大人になったというようなやりとりがあったように思う。萌絵には右往左往する存在であってほしいという気持ちがどこかにあって、後輩を取りまとめるしっかりとした先輩というのは、なんだか似合わないなと思ってしまう。S&Mシリーズなどでは「萌絵は〜」と書かれていた文章が「西之園は〜」と書かれているのが気になるのだけれど、なにかの伏線だろうか。単純に視点の違いによるものなのかな。 

新しい登場人物は萌絵のようなお金持ちでもない、保呂草のような特別な職業でもない、普通の学生ばかりなので、なんだか地味なシリーズという印象。とはいえ、だからこそ、Vシリーズよりも読みやすかった。面白いといえば面白いのだけれど、他のシリーズの方が今のところは好みであるように思う。Gシリーズは萌絵や犀川、今後出てくるであろうその他森作品の主要人物たちを第三者、それも一般人に近い視点から見るシリーズなのだろうか。続きに期待。

 

お気に入りの一文