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あらすじ
犀川、練無も集う 煌めきの傑作短編集!
N大学医学部に在籍する小鳥遊練無(たかなしねりな)は、構内で出会った風変わりなお嬢様に誘われて「ぶるぶる人形を追跡する会」に参加した。大学に出没する踊る紙人形を観察し、謎を解こうというのだが……。不可思議な謎と魅力的な謎解きに満ちた「ぶるぶる人形にうってつけの夜」ほか、魅惑の7編を収録した珠玉の第3短編集。
目次
どちらかが魔女 Which is the Witch?
双頭の鷲の旗の下に Unter dem Doppeladler
ぶるぶる人形にうってつけの夜 The Perfect Night for Shaking Doll
ゲームの国 The Country of Game
私の崖はこの夏のアウトライン My Cliff is the Outline against this Summer
卒業文集 Graduation Anthology
恋之坂ナイトグライド Gliding through the Night at Koinosaka
素敵な模型屋さん Pretty Shop of Models and Toys
感想
結論から言うと前前作、前作に比べると面白くなかった。その代わりに「お気に入りの名言」はたくさんあったので満足度はそこまで低くはない。序盤からS&Mシリーズ作品2編とVシリーズ作品1編が続いていたので驚いた。この3編を目的に読んでいるといっても過言ではないので、4編以降は読むのをやめようかと思った。結果的に他の短編は面白くなかったので、最初の3編だけ読んで止めておくべきだった。
『どちらかが魔女』がかなり面白かった。森先生の手の上でまんまと踊らせられた。一瞬でも森先生を見下してしまった自分が恥ずかしい。『双頭の鷲の旗の下に』と『ぶるぶる人形にうってつけの夜』はシリーズの短編にしては面白くなかった。後者に登場した謎の登場人物が誰だったのかは気になる。これはシリーズの本編でのちのちわかるのかな。残りの短編は先にも書いた通りつまらなかった。本作は多分、もう2度と読み返さないんじゃないかなと思っている。
解説が前作の冨樫先生に続いてまたもや豪華で、『3月のライオン』の作者羽海野チカ先生だったので驚いた。森先生のことが好きな作家や漫画家は予想以上に多いらしい。解説の中で“「よくわかることができない」それなのに楽しくて「ずっと読んでいたい」”という一文があったのだけれど、僕が森作品を読んでいる理由と重なるなと思った。
お気に入りの一文
幼い頃は、叔母のこの表情が怖かった萌絵だが、そのバグは、最近のバージョンアップで取り除かれた。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年9月25日
「今度私が包丁を握るときは、誰かを刺し殺すときですよ」睦子がオーバな表情でおどけて言った。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年9月27日
世の中に存在する問題の大半は、問題自体がどこにあるのか、何が問題なのか、ということが明確に提示されない。それが最大の問題なんだ。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年9月27日
「犀川先生、もういらっしゃっているかしら」萌絵は言った。つい、思っていることが言葉として溢れ出たので、口にしてから恥ずかしかった。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年9月29日
自分も直感的にそう思った。先入観というものは恐ろしい。思考は、最初の印象によって無意識に限定される。その不自由さが問題を複雑にし、解決を遠ざけてしまうことが多いのだ。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年10月6日
自分は決して悪くない。人のせいだ、運が悪かったのだ。神様にすべての責任を転嫁して、身も心も軽くなる。人間の自由と進化は、こうして心の安定と引き替えに失われていく。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年10月6日
実に馬鹿馬鹿しい会合だった。どれくらい馬鹿馬鹿しいかというと、ごく普通のどこにでもある平均的な「会合」に匹敵するくらい馬鹿馬鹿しかった。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年10月8日
身長でも体重でも、紫子よりも小さいのだが、食べる量だけは練無の方がはるかに多い。つまり、これは燃費が悪いわけで、軽量でも高性能大馬力エンジンを搭載しているスポーツカーだからだ、と自分では解釈していた。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年10月8日
「最初は僅かな思い込みでも、それらの積み重ねが、あらぬ方向へと思考や推理を導くのだ。問題を難解にするものは、自分の間違った認識なのだよ」#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年10月8日
いきなり脈絡のない話をする奴である。これで、相手に話が通じると思っている点が、いかにも客観性の欠如といえよう。まだまだ一人前とはいえない。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年10月8日
言葉数が多いわりに内容は少ない。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年10月8日
それにしても暗い。目が慣れていないせいかもしれないが、尋常の暗闇ではなかった。これでは、何か怖ろしいものが突然現れても何も見えないから、恐いものなし、ともいえる。#今夜はパラシュート博物館へ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年10月8日