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あらすじ
美しい館にひそむオオカミ男の犯罪か!?
薔薇屋敷あるいは月夜邸と呼ばれるその屋敷には、オオカミ男が出るという奇妙な噂があった。瀬在丸紅子(せざいまるべにこ)たちが出席したパーティの最中、衣服も引き裂かれた凄惨な死体が、オーディオ・ルームで発見された。現場は内側から施錠された密室で、床一面に血が飛散していた。紅子が看破した事件の意外な真相とは!?
感想
本作には紅子さんとは別にもう1人令嬢が出てくるのだけれど、その令嬢も紅子さんに負けず劣らず魅力的なので、2人の会話シーンはずっと読んでいられる。最初から最後まで2人の会話でもいいくらい。彼女も主要メンバーに加えてほしい。無理だろうけれど。
前作から薄々気づいていたのだけれど、紫子のキャラが痛い。痛いし寒い。痛いし寒いしセンスがない。到底、森先生が作り出したキャラクターとは思えない。今までの森博嗣作品では魅力的なキャラクターばかりだったので、このキャラには違和感を覚える。これもまた何かの伏線なのだろうか。
本作のトリックには少々ズルいような気がしたけれど、森博嗣作品はトリックや犯人よりも、その事件を解決に至るまでの過程を楽しむものだと思っているので、個人的には気にならなかった。気にする人もいるのだろうなというとのは想像できる。
林刑事の出番が少なかったことだけが残念だった。面白かったのですが、前作、前々作の方が好みでした。
お気に入りの一文
名前のとおり、大人しく素朴な若者で、欠点といったら、大人しく素朴過ぎる点くらいしかない、と思われた。#月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月16日
将来は自分のライバルになるかもしれないが、貸しを作るのも悪くはない、と美紗は考えた。#月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月16日
もちろん、紅子も厭味とは思わなかった。こういった会話の内容が厭味に聞こえるとしたら、それは心が貧しい証拠だろう。#月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月16日
背中を押したのは、紅子である。接近した彼女の髪の香りでわかった。 #月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月19日
今も、涙が出そうだった。ただ、少なくとも、涙を止める技術だけは昔よりもずっと上達している。 #月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月20日
保呂草はいい加減な理由をでっち上げて答える。表面的な現象としては嘘ではない。こういった場合、完全な嘘は危険だ。 #月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月21日
大人になるとね、都合の悪いことはどんどん忘れてしまうのよ。今は信じられないかもしれないけれど、そうね、十六歳くらいから、そういうふうになるの。揮発性っていうんだけれど、もともとそういうふうに人間はできているの。 #月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月21日
自分が不幸だとは思わない。自分は常に最善の道を選択したのだから、今よりも幸せにはなれなかったはず。過去のどこを探しても、間違いはなかった。どこへ戻っても、きっと同じ道を選ぶだろう。#月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月21日
まったく感心する。金持ちというのは抜かりがない。あるいは、抜かりがない奴が金持ちになるのか。本当に用心深いといったらない。 #月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月21日
今回のことで私が学んだ教訓は、人はすべての現象に意図を見出そうとする、ということだ。 #月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月22日
必ず誰か個人に都合の良い論理が潜んでいる。意志も意図も作意も、賢いほど姿を見せない。 #月は幽咽のデバイス #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月22日