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【百年シリーズ】森博嗣『迷宮百年の睡魔』の感想【ネタバレあり】

 

 

あらすじ

百年の間、外部に様子が伝えられたことのない宮殿より取材許可を得て、伝説の島を訪れたミチルとウォーカロンのロイディ。一夜にして海に囲まれたと言い伝えられる島には、座標システムも機能しない迷宮の街が広がり、かつて会った女性に酷似した女王がいた。あらゆる前提を覆す、至高の百年シリーズ第2作!

出典元:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000212578

 

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お気に入りの一文 

 

感想(ネタバレあり

本作では前作に比べてロイディの会話性能がパワーアップしているので、前作よりもミチルとロイディの会話が面白い。前作の感想に会話シーンが物足りないという感想を書いたので、その感想を読んだ森先生が作品に反映させてくれたのかもしれない。どちらにしても、本作の終盤で、ミチルも僕と同意見だったので、ロイディの会話性能がパワーアップしているのは勘違いではなさそう。それにしてもロイディとの通信、特に映像のやりとりの方法についてはイマイチよくわかっていない。なぜあんなことができるのだろう。

ロイディを経由した捜査は面白かったけれど、警察から逃げるくだりは退屈。完全に蛇足であるように感じた。アクションの描写を文字で読むのは苦手。物語全体の面白さは前作と同様につまらなくもなければ面白くもない。とりあえず、近未来を頭の中で想像するのは疲れる。

クラウド・ライツは自殺で、神の声を聞いたウィルが首と凶器を海に捨てたというトリックはイマイチだなと感じたけれど、ウィルはクラウド・ライツと同じ脳に動かされていた、という事実には驚かされた。非現実的すぎる為にイマイチ理解することができないので、そこまで面白いとは感じないけれど。

要するに死んだ2人は、ミチルと同じような、いわゆる「分離型の新人類」だったということらしい。脳と身体が別れているのは、この世界でミチルだけであると思い込んでいたので、そこを上手くついたトリックともいえる。

本作ではデボウのウォーカロンが登場したり、ドリィがウォーカロンであることが明かされたりと、この時代は想像以上にウォーカロンの技術が発達していることがわかった。ミチルやロイディには人間とウォーカロンの区別がつなかないよう。そうなってくると、前作の登場人物などもウォーカロンだったのでは、などと考えてしまう。

読んでいる途中、ミチルは本当はアキラなのではないか、と考えながら読んでいたら、ミチル自身も夢の中で同じように疑っていたので驚いた。死んだのはミリルで、生きているがアキラであると考えれば、シャルル・ドリィが「君は病気だ」と言っていることや、前作のさまざまな違和感も辻褄が合うのでは、と考えたりもしたのだけれど、本当に女なのであれば、前作で王になれたことになるのだから違うだろうし、デボウ・スホを愛しているような描写がある時点で、男性であると考えるのが自然なのかもしれない。 

デボウ・スホの母であるメグツシュカ・スホから、ミチルはクロンであることが明かされたので驚いた。名前から察するに四季の娘のクロンということだろうか。わからない。前作の感想にミチルにはまだ秘密がありそうだと書いたけれど、この秘密のことだったのだろうか。ミチルはアルコールに弱いような描写があるのも何かの伏線だろうか。

島を回していた理由は紫外線を当てることが感染症対策になっているということらしい。森が一夜にして海に変わったのは、島の周りが防波堤で囲まれており、水を貯めたり出したりでき、それを住民を眠らせている間に行った為に、住人は一夜にしで森が海に変わったと感じたということでいいのかな。当時の住人を全員眠らせることなどできるのだろうか。イマイチよくわからない。

ドリィのコレクション中に百年ほど前に作られたという、空気圧で動く本ものの人間と見間違えるくらいリアルな人形が出てきたのだけれど、Gシリーズ『ジグβは神ですか』で出てきた四季によく似た人形と何か関係があるのだろうか。なんとなくありそうな気がする。

ミチルとロイディと一緒に旅にでた2人が今後どのように関わってくるのか気になる。新しい街で新たな仲間を引き連れる様子はRPGかよ、と思ったけれど。