あらすじ
Xシリーズ、待望の開幕!
行方の知れない兄と、凄絶なまでに美しい双子、そして後妻。周囲から時間が消えたような屋敷に今、血腥い風が吹く。黒髪の佳人、佐竹千鶴は椙田探偵事務所を訪れて、こう切り出した。「私の兄を捜していただきたいのです」。双子の妹、千春とともに都心の広大な旧家に暮らすが、兄の鎮夫は母屋の地下牢に幽閉されているのだという。椙田の助手、小川と真鍋が調査に向かうが、謎は深まるばかり――。Xシリーズ、文庫化始動!
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感想
初めてのXシリーズ。どうやら本作は椙田探偵事務所が舞台のお話らしい。探偵事務所のメンバーは、Gシリーズの主要人物に比べると魅力的なので安心した。なんといっても椙田が良いのだけれど、どうやらがっつり主人公というわけではなさそうなのが残念。まあ、それは仕方がないのだけれど。Gシリーズの萌絵ちゃん的な立ち位置なのかもしれない。鷹知も面白そうな感じの設定だったので今後に期待。時系列的にGシリーズのメンバーも絡んできそうなので楽しみ。
物語自体はそこまで面白いわけではなかったのだけれど、しっかりとした犯人がいるだけでも満足感ある。トリックや犯人についてはややこしいわりには、というよりは、ややこしすぎるせいで面白みに欠ける印象。読了した今も100%は理解できていないので、またいつか再読するつもり。双子と精神的に不安定な登場人物の組み合わせはズルい。地下牢絡みの特殊な建物は森作品らしくて良かった。
そういえば、2人分の骨は誰のだったのだろう。死について語られた2人のだろうか。どうしてそこにあったのだろう。どうして埋められていたのだろう。隠されていたということだろうか。わからない。
今まで読んできたどんな森作品よりも「お気に入りの一文」が少なかったように思う。Xシリーズに共通した特徴でないことを願う。
お気に入りの一文
「自分の立場で、できること、その可能性を最大限に活かさないと。そうやってのし上がっていくの」#イナイXイナイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月16日
「こういうしいんとした部屋って、私、駄目なの。もっと、こう、いつもリズムとメロディに包まれていたいわけ」#イナイXイナイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月16日
じっと真鍋の方を見据える美しい瞳は、潤んでいるようにも見えた。それがデフォルトなのか、それとも言葉にならない感情が僅かに染み出た証だったのか、それはわからない。#イナイXイナイ #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2020年4月16日