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あらすじ
一年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、六月六日、四十四歳になる小田原静江に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静江は殺されてしまう。森博嗣の新境地を拓くVシリーズ第一作、待望の文庫化。
感想
Vシリーズの登場人物はS&Mシリーズに比べると個性が強く、名前も独特であった為、最初はかなりの違和感を覚えたのだけれど、読み進めていく内にすぐ慣れた。犀川助教授や萌絵ちゃんと同じくらい、とまではいかないけれど(今のところは)本作の4人も十分に魅力的だった。特に紅子さん。
ジョークやユーモアを交えた会話は相変わらずに魅力的。特に終盤の犯人と紅子さんのやりとりは緊張感があって読み応えがあった。本作は犯人がとにかく魅力的だったのが印象的。またこの先、出てきてくれないかと密かに期待している。
犯人やトリックには驚かされた。いつものことだけれど。全てをわかった上でもう一度読み返してみたいなと思った。読み返す予定はないのだけれど。とりあえず、最初から最後まで余すところなく面白かった。いつものことだけれど。次作の『人形式モナリザ』も楽しみ。
お気に入りの一文
日曜日の午前十時。昨夜遅くまで麻雀をしていた保呂草には、まだ早朝だ。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月3日
自分が保証したところで何の保証にもならない、と思いながら。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月3日
胸にカラータイマがあったら、きっと点滅して鳴っているほど眠かった #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月3日
だがしかし、機千瑛にとって、紅子の命令は絶対である。それは、チョキがパーよりも強いのと同じくらい疑う余地のない絶対真理なのである。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月3日
自分よりも気分の悪そうな人間を見て、紫子は多少落ち着いた。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月4日
林はそのドアを開けてから、首をひょいと曲げて紅子に合図をした。そこに入れ、という意味らしい。言葉でいえば良いのに、と彼女は思う。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月4日
「当たり前です。クレオパトラの死因をこんなところできいてどうするんですか」 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月4日
つまらない冗談だったし、しかも間違っている。癖になるから、笑ってはいけない。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月5日
起き上がって、前日に食べたアイスクリームみたいにどろっと曖昧な自分の頭を振っていると、もう一度、ノックがあった。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月5日
この男は俺のことが嫌いなのだ、という確信にますます磨きがかかる。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月7日
何事も一回ではもの足りない。二回目以降があって初めて一回目の重要さに気づく。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月7日
十も歳上なのに、どきっとするほど、幼く見える瞬間が彼女にはあった。#黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月7日
「じゃあ、どんな動機だったら、殺人に相応しいと思う?」 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月9日
「今から、私の全快祝いで、飲みにいくところだったんですよ。しかも、私の奢りで。皆さん貧乏だから」 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月9日
美味しいものをいくら食べても、人間は偉くも賢くもならないのよ。そんなことで僻んでなんていません。生きていくための栄養さえ取れれば、なんでも同じ。ただの燃料なんですから。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月9日
「固定概念で鈍化し麻痺すること、それが僕の唯一恐れる対象です」 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月9日
当然ながら、それは嘘だった。しかし、ときには、そういった嘘が必要なものだ。 #黒猫の三角 #森博嗣
— ジェニック (@jenik29) 2019年3月9日